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矢倉版のポンポン桂
こんにちは、Yutaです。
この記事は、先手の矢倉に対して、後手がいきなり△6五桂と跳んで攻め潰す作戦「矢倉ポンポン桂」について解説しています。
この記事はこんなあなたにオススメ
じっくり相矢倉の将棋は苦手だなぁ。
定跡が細かすぎる。
簡単に矢倉に攻め勝つ方法はないものか…。
そんなあなたにオススメなのが「ポンポン桂」!
なんじゃそら?

なんだこれは?
将棋をなめるなよ。
参考図1は
2017年王位戦予選 ▲小林健二九段 vs. △藤井聡太四段(当時)
の実戦で後手の藤井四段が勝っています。
…さすが藤井先生。
この記事でわかること
- 先手矢倉に対していきなり△6五桂と跳ねる攻めが成立する形
- △6五桂以降の攻め方
ざっくりした結論から言いますと、
先手が▲5八金および▲5六歩を指していない場合はたいてい△6五桂と跳ねてOKです。
初手から見ていきましょう。
初手から基本図まで
初手から
▲7六歩、△8四歩、▲6八銀、△3四歩、▲7七銀、△6二銀、▲7八金、△8五歩(基本図)

後手はこの後△7四歩~△7三桂~△6五桂を狙います。
その間の先手の指し手に分けて解説します。
ポンポン桂が上手くいく形
まずはポンポン桂が上手くいくパターンをみていきましょう。
基本図から▲4八銀~▲6九玉~▲2四歩
まずはプロの実戦にも表れた参考図1の局面を見てみましょう。

銀の逃げ方は▲6六銀と▲6八銀の2通り。
まずは▲6八銀から。
桂馬を▲6八銀でかわす変化
テーマ図1から①
▲6八銀、△8八角成、▲同金、△8六歩、▲同歩、△同飛、▲8七歩、△7六飛(図1)

▲6八銀には角交換から横歩を取るまでがワンセットです。
ここで▲5五角には△2二角と合わせれば問題ないわけか。
次に8八の金取りに打つ△3三角が厳しいので▲6六角と受ける手を見てみましょう。
図1から
▲6六角、△8六歩(図2)

ここで飛車の直通を避ける▲7七桂は△6六飛、▲同歩、△7六角で後手優勢です。(参考図2)

図2から
▲8六同歩、△8七歩、▲7八金(図3)

△8六歩~△8七歩は覚えておこう。
でもかわされたらどうすればいいんだ?
図3から
△6六飛、▲同歩、△8八角(結果図1)

飛車切りから▲8八角と打ち込んで攻めが繋がります。
先手は右辺の壁形が悪く後手有利です。
桂馬を▲6六銀でかわす変化
テーマ図1から②
▲6六銀(図4)

次は△6五桂に▲6六銀を見てみましょう。
図4から
△8六歩、▲同歩、△同飛、▲8七歩、△7六飛(図5)

これは桂馬がタダやん。
▲6五銀で桂馬を取ると、
△7八飛成、▲同玉、△6八金、▲同玉、△8八角成(参考図3)で後手良しになります。

△6八金みたいな送りの手筋は覚えておこう。
図5から①
▲2五歩、△8六歩(図6)

図5から先手が▲2五歩と攻めの手を指してきた場合を見てみましょう。
これには先程も出てきた△8六歩で先手が痺れています。
図6から
▲同歩、△8七歩、▲同金、△6六角、▲同角、△7八銀(結果図2)

大駒を切り飛ばす攻めは気持ちいいな。
ここでも△8六歩~△8七歩が攻めの継続手か。
ちなみに、
途中の△6六角に▲同角と取らず、▲7七歩としてきた場合は△5三桂不成から攻めが繋がります。(参考図4)

実は図5から先手の最善は▲5八金です。
次に▲6八金右と寄ることで結果図2のような攻めを防ぐことができます。
図5から②
▲5八金、△8六歩、▲6八金右、△6四歩(結果図3)

おいおい、飛車が危ないんじゃないのかコレ。
先手から▲8六歩と取ってくれないと帰れないよ。
この結果図3、先手も指し手が難しいところです。
例えば▲5六歩と突くと…
後手の攻めが決まる変化
結果図3から▲5六歩の変化
△7八飛成、▲同金、△7六金(途中図)、▲8六歩、△8七歩、▲7九角、△6六金、▲同歩、△同角(参考図5)


おお、飛車切りから流れるような攻めが決まった!
この順は4八の銀が動いて5三に利きがなくなったときも有効です。(参考図6)

テーマ図1は後手良しの変化が多いことが確認できました。
ポンポン桂が決まりにくい形【▲5八金右】
次はいきなり桂馬を跳ねても上手くいかないパターンです。
基本図から▲4八銀~▲5八金~▲6九玉
次は▲4八銀~▲5八金~▲6九玉と先手が守りの手を多く指してきた場合を見てみましょう。(テーマ図2)

これもまず▲6八銀から見てみましょう。
桂馬を▲6八銀でかわす
テーマ図2から①
▲6八銀、△8八角成、▲同金、△8六歩、▲同歩、△同飛、▲8七歩、△7六飛(図7)

ここでは先程出てこなかった桂取りの▲6六歩が成立します。
図7から
▲6六歩、△8六歩、▲6七銀(結果図4)

結果図4でもし▲5八金を指していなかったら△7九角と打って後手良しです。(参考図7)
▲5八金が入っていると攻め切るのは難しいと覚えておいて下さい。

桂馬を▲6六銀でかわす
テーマ図2から②
▲6六銀、△6四歩(図8)

▲5八金が入ると一気の攻めは無理か。
図8から
▲2六歩、 △8六歩、▲同歩、△同飛、▲8七歩、△7六飛、▲6八金右、△8六歩(結果図5)

△6五桂に▲6六銀はしっかり桂馬を支えてから△8六歩と突きましょう。
矢倉ポンポン桂まとめ
- △6五桂に▲6八銀は角交換から△8六歩~△7六飛と横歩を取って攻める。
- △6五桂に▲6六銀は △8六歩~△7六飛と横歩を取って攻める。
- △8六歩と合わせて▲同歩なら△8七歩と叩いて攻めを繋げる。
- ▲5八金が入っていると一気に攻めるのは難しい。
- △8六歩の合わせを取らない場合、△7八飛成~△7六金と打って8七の地点を攻める筋がある。
互角の変化もあったけど、先手陣を乱すことができるし、慣れれば後手がやれそうだな。
これはいけるかも、と思ったら積極的に△6五桂と跳ねてみましょう!